イギリス留学の思い出

20年以上前に経験したイギリス留学の思い出を取りとめもなく書く

英語学校のネット事情

イギリスにはパソコンを持たずに渡った。そもそも日本でもパソコンを持っていなかった。日本ではずっと大学から支給されたパソコンを使っていたので、大学院卒業時にそれを返してしまったのだ。

というわけでイギリスに渡った後はよくネットにつなげないという問題に遭遇した。

 

イギリスに渡った後に通った英語学校ではインターネットがなかった。いや、正確には屋根裏部屋に小さな古いパソコンが一台あって、そこではネットにつなげた。でもそのネットはとても遅く、しかも日本語が入っていなかったので日本語のページは読めなかったし打ち込むこともできなかった。

代わりに英語学校が提案していたのが、近所の図書館を利用するという方法だった。

英語学校から歩いて15分くらいのところに街が運営する小さな図書館があった。そこにはパソコンが10台弱あって、ネットを利用できた。

 

僕らはまずその図書館で会員カードを作る。英語学校の生徒は短期的な滞在なので正式な住所はないけど、図書館側も慣れているのか、難なくカードを作ることができた。

小さな街に外国人がいるととても目立つ。「あいつらは英語学校の生徒だ」という認識はけっこう街に広がっているらしく、街もいろいろ便宜を図ってくれているらしかった。

 

会員カードを持っていればパソコンを利用できる。ただし予約が必要だった。図書館の建物のちょうど中央あたりにリング状のテーブルがあり、そこの中にスタッフがいて、僕らはいつも放課後にネットの予約を入れていた。時間によっては英語学校の生徒がほとんどのパソコンを占拠してしまうこともあり、ちょっと申し訳ない気分になったこともあったけど、僕は生徒の中でも特にネットを頻繁に使うネット中毒だった。韓国人の生徒たちもよくネットを使っていた。

ヨーロッパの生徒はそれほど使っていないようだった。せっかくの夏休みにネットなんかやる気にならないんだろう。

 

僕は日本語の情報に飢えていた。それにもまして、秋から通うことになるインペリアルカレッジとのやり取り、その時も続けていたケンブリッジとのやり取り、それから身内とのやり取りが毎日気になって、メールを頻繁にチェックした。

利用時間はたしか30分か1時間単位だったと思うけど、僕は時間を忘れて2時間以上ネットをして図書館のスタッフに「もう時間過ぎてる」と注意されたこともあった。

 

図書館のネットが利用できない場合は同じホストファミリーで同居していたイタリア人の女の子のノーパソを借りたりもした。ただ彼女は最初の一カ月で帰ってしまったので、その後の2カ月は図書館でネットを利用するしか方法がなかった。

 

ちなみに携帯は持っていなかった。当時の携帯はガラケーみたいな折りたたみ携帯ですらない小さなもので、ネットなんかできるようなシロモノじゃなかった。

 

インペリアルカレッジとのやり取りについては、状況が二転三転し、不便なネット事情もあって、この後非常に苦労することになる。