イギリスの大学は10月から始まるけど、僕はもっと早くイギリスに渡るつもりだった。
日本の大学院は3月に卒業だ。就職をしていない僕は4月から暇になる。半年も暇を持て余すよりさっさとイギリスに渡って慣れておいた方がいいと思ったのだ。
そこで僕は、6月に渡英を決めた。
イギリスに渡る日が刻一刻と迫っていた。
いつ日付を決めたのかは覚えてない。大学院卒業の直前ぐらいだったように思う。確か願書を送った大学からはまだどこからも合格通知を受け取っていなかった。完全な見切り発車だ。
知り合いが英語学校を紹介してくれた。そこはキリスト教系団体がやっていた英語学校で、ウェールズの北にあった。授業料が他と比べて安く、小ぢんまりとした雰囲気で、パンフレットを見てもそこまで専門的な学校には見えなかったけど、僕の早期渡英の目的はイギリスに慣れておくことで別に英語をガンガン勉強しようというつもりはなかったので、ほとんどためらうことなくそこに決めた。
知り合いは信用できる人だったので、その安心感もあった。
その学校は6月から新しい生徒をけっこう受け入れていたようだったので、そこで僕は渡英を6月に決めたのかもしれない。正確には確か6月2日くらいだったと思う。
HISで片道飛行機を買った。クアラルンプール経由、マンチェスター着。
ついにイギリスに行けるのだ。今でも忘れられない、あの高揚感。
けれど、イギリスのどの大学に行けるのか、この時点でもまだわかっていなかった。
さて、話は前後するけど、留学を目指す僕にはまだ大きなハードルが1つあった。
それは、日本の大学院を卒業することだ。
何度も書いてきたけど、僕はまったくといっていいほど研究をしなかった。まあ、言われたことはやってたけど、自分で課題を見つけて研究をする、なんてことはまったくやる気がなかった。
そもそも在籍する研究室の研究テーマに興味がなかった。
そのツケが大学院2年の年末に一気にやってきたのだ。