僕はイギリス留学前に日本の大学院に通っていた。大学院は3月に卒業する。
いっぽう、イギリスの大学は10月から新しい学年が始まる。
じゃあイギリスの大学への出願はいつすべきなのか、これはよく分からなかった。
日本の大学と違って、イギリスの大学はこれといった出願受付期間が設けられていない。いろいろな留学ガイドブックを読むと、「生徒が埋まり次第出願受付を打ち切ってしまうので早ければ早いほどいい」とのことだった。かといって2年半も前から出願するのはさすがに早すぎる。
というわけで日本の大学院の1年生だったころは英語の学習以外これといって準備することはなかった。
僕の第一志望校はケンブリッジ大学だった。これはもうずっと心に決めていた。でも、そんなに簡単に行けるわけがない。ケンブリッジでないにしてもとにかくイギリス留学はしたかったので、他にも志望校を決めることにした。
まず候補にしたのはオックスフォード大学だ。正直オックスフォードはケンブリッジ以上に難しい。これは滑り止めでもなんでもなく、ケンブリッジと並ぶ自分の高めの目標として据えただけだ。出願しても無理だろうなとは思っていた。
次に候補にしたのはスコットランドの大学だ。マスターキートン(何度も取り上げて失礼!)にエディンバラの話があって、その風景にとても惹かれたので、エディンバラ大学を候補にした。エディンバラ大はイギリス内でもレベルが高く、歴史もそれなりに古く、留学にはもってこいの場所に感じた。
そうだ、あとNHKでやってた「世界・わが心の旅」という番組で現皇后の父上の小和田恒氏がエディンバラを訪れていて、それを見た影響もある。
あと、スコットランドにはグラスゴーという都市もある。ここにあるグラスゴー大も候補にした。これはかなり後に決めたような気がする。大学院生の時に知り合った人の知り合いがグラスゴーでバレエダンサーとして働いていて、それなりにいい街らしいという話を聞いたので、何となく決めた。当の「知り合いの知り合い」の人とは一度も話したことないけど。
ようは、どこでもよかったのだ。「〇〇大に留学してました」と誰かに言ったとき、「あー、〇〇ね」と分かってもらえるような大学ならどこでもいい。
「語学留学(遊学)みたいに思われるのは嫌だ」という妙な自尊心はあった。能力はないのに、プライドは人一倍強かった。今はそんな自尊心、みじんもないけど。
志望大学を決めたので、それらの大学が指定する英語力に達するように頑張って英語を勉強した。
しかし、実際に行った留学先はこれらの志望先にはない全く違う大学だった。