前にも書いたけど、イギリスは憧れだった。
ずっと前からイギリスが好きだったわけじゃない。アジアが好きだった時期もあったし、アメリカに行きたかったこともあった。
イギリスが好きになったのは、大部分はマスターキートンというマンガの影響だ。
マスターキートンを語りだすと何十本もの記事になってしまうしこのブログの趣旨からそれるので、軽く紹介だけしたい。
キートンという中年に差し掛かろうとする男性が主人公の話。
彼はオックスフォード大学を卒業し、考古学者として大学非常勤講師もしているが、本職は保険屋から依頼を受けて調査を行う調査員だ。探偵みたいな感じ。彼はイギリス特殊部隊SASの元隊員でもあり、軍隊のサバイバル知識を豊富に持ち合わせているので、ときには軍人やスパイみたいな仕事もする。
彼はすごい経歴を持っているが、普段は決してそんなそぶりを見せず、ただの気のいいおじさんとして誰とでもすんなり打ち解けてしまう。
話の舞台はヨーロッパ全土や日本に渡り、当時の世界情勢を交えながら様々な事件にかかわっていく。彼はイギリス人と日本人のハーフなので、イギリスが舞台の話が多い。
キートンのイギリスに憧れたなあ。作者は浦沢直樹と勝鹿北星で、日本人が作った日本のマンガだからそこに描かれていたイギリスは本当のイギリスじゃない。でもかなり良くイギリスを描写できていたと思う。
日本ではアメリカの情報は豊富にあったけど、イギリスの情報はそんなに多くはなかった。レンタルビデオ屋にイギリスの映画を探しに行っても、イギリス映画はほとんどなかった。
少しでもイギリスの事が知りたかったので、別に興味もなかったけどイギリス映画を借りて観た。
最初に見たのは「炎のランナー」だった。有名な映画だったので名前は知っていた。
この映画はケンブリッジ大学の学生が主人公なので、ケンブリッジ大学もロケ地として少しだけ出てくる。(実際はケンブリッジでのロケの許可が下りず、別の場所で撮ったということを後で知ってがっかりした。)
映画の内容は普通だった。でもイギリスの風景を見るだけで満足できた。
次に見たのは「ブラス」という映画だった。これは観るまで知らなかった。
イギリスの炭鉱町でブラスバンドをやる人たちの話だったと思う。政府のせいで炭鉱が潰されてブラスバンドが続けられないとか、サッチャーのせいで生活が苦しいとか、ことあるごとに政治批判が出てくる。やたら政治臭いのはかつてのイギリス映画の特徴らしい。
イギリスの炭鉱町は殺風景でレンガ造りの汚い家が並び、やたら薄暗い。イギリスに行ったらほんとにこういう町ばっかりでびっくりした。ずっといたら鬱になる。
あとケンブリッジ対オックスフォードのボートレースの映画も観た。
オックスフォードとケンブリッジは毎年テムズ川でボートレースを行うことになっていて、これがイギリスの国民的行事になっている。それにまつわるある1年間を描いた映画だけど、この映画は超マイナーなので知ってる人はあまりいないと思う。
話はオックスフォード視点で、打倒ケンブリッジに向けて練習に励むボート部員が主人公。劇中は仲間割れしたりチームから外されたり、とにかくいざこざが多い。しかも特定人物を集会演説で徹底的に糾弾したり、イギリス人ってのはやたら激論が好きなんだなあとちょっと怖くなった。
そういえばイギリスの学生が冬に冷蔵庫を使わず、ベランダに食べ物を出して外気で冷やすってことを知ったのはこの映画だった。観たときは「ウソだろ?」と思ったけど、イギリスに行ってみたら確かに実際やってる奴がいた。さすがにみんなじゃないけど。
ちなみにこの映画も面白くなかった。
他にもいろいろ見たと思うけどあんまり覚えてない。
面白くないのだ。イギリス映画。
ただコメディは面白い。ミスタービーンはお気に入りだった。