留学したい、と思い立った時が確かにあったはずなのに、それがいつだったのか、何がきっかけだったのか、まったく思い出せない。
確かに言えるのは、日本の大学に入った時点では留学なんてことはこれっぽっちも考えてなかったこと。入ってすぐ仲良くなった友達(もうつながりはない)が「留学したい」としきりに言ってたのを「なんでそんなめんどくさいことを」と内心冷ややかに見ていたのをはっきり覚えてる。
まさか自分が留学することになるとは、人生とは分からんもんだ。
まあたぶん大学3年か4年かそのあたりだったと思う、留学したいと思い始めたのは。
そのころテレビアニメで「マスターキートン」をやっていた。
マスターキートンはマンガもあるので読んでみてください。面白いよ。
当時の僕は鬱々としていた。実家から地元の大学に通ってたけど、そんな暮らしが嫌でたまらなかった。このまま地元の企業に就職して、ずっと地元で暮らしていく、という無難な人生設計が僕には絶望でしかなかった。
僕はキートンに憧れた。元イギリス特殊部隊SASの考古学者で保険会社のオプ、なんてかっこいい響きなんだ!
彼の活躍舞台は主にヨーロッパだった。キートンの舞台のヨーロッパは実にミステリアスで美しく、恐ろしく、魅力的だった。
キートンはオックスフォード大学出身という設定だったので、僕はイギリスの名門大学に在籍することに夢を持ち始めた、ような気がする。実際あんまり覚えてない。
当時僕は大学で理系っぽい学部に在籍していた。
僕にとってオックスフォードは文系というイメージがあった。理系といえばやっぱりケンブリッジだ。オックスフォードは東大、ケンブリッジは京大、的なイメージを持っていた。
というわけで、僕はケンブリッジ大留学を目指すことにした、ような気がする。
実際あんまり覚えてない。