イギリス留学の思い出

20年以上前に経験したイギリス留学の思い出を取りとめもなく書く

ネス湖とネッシー

僕らは車でとうとうブリテン島の北の端に到達した。そこは終末感あふれる寂しい場所だった。

案内板によるとジョンレノンがしばしば訪れていたらしい。人気のありすぎた彼にはこういう寂しい場所は心を休めるのに良かったかもしれないけど、僕は人恋しくて一刻も早く大きな街に戻りたかった。

 

僕らはエディンバラに向かって南下を始めた。その途中に寄ったのはネッシーで有名なネス湖だ。

 

ネッシーの写真はねつ造だ」という結論は当時すでに出ていた。僕も日本にいたころそのニュースを見て知っていた。

けれどネス湖まわりはネッシーグッズで溢れていた。観光客もそれなりにいた。

ネス湖は美しい湖で、向こう岸がほとんど見えないほど広い。その景観だけで観光客を呼ぶのに十分だけど、やっぱりネッシービジネスは儲かるらしかった。

 

ネス湖の駐車場わきに大きなお土産屋が一件あった。そこがネッシーグッズの聖地だ。

ただ、日本人になじみのある「ネッシー」という名前は見当たらない。単に「ネス湖のモンスター」と呼称されていた。

どっちかというと日本では「恐竜」みたいな扱いを受けていたと思うけど、地元スコットランドでは「モンスター」なのだ。この世ならざるものだ。だからねつ造だと言われようが、目撃者が「いる」といえば存在するのだ。

信じるか信じないかはあなた次第

 

僕はネッシーなんかいないと思っていた。だからお土産品もアホらしくて何も買わなかった。今思えば、記念に何か買っておくべきだったかもしれない。

 

ネス湖周りを少し散策した。ネス湖の岸辺はアザミやらとげとげの葉っぱ、ドクダミなど、危険な草が生い茂り、なかなか近寄ることができない。確か岸辺はすこし切り立った低い崖のようになっていた気がする。水を触ることはできなかった。

 

ネス湖の印象はそれぐらいしかない。当然ネッシーは見なかった。

僕らは車に乗り、インヴァネスという街に向かった。インヴァネスという名前にある「ネス」はネス湖の「ネス」だ。