僕は3か月に一回IELTS試験を受け続けていた。それでも一向に目標点数の7点に到達する気配がなかった。
1月に試験を受けた。この時、地元のブリティッシュカウンシルではIELTSをやっていなかった(もしくは試験日がぎりぎり90日制限を満たさなかった)ので、京都のブリティッシュカウンシルに試験を受けに行った。
試験日はたいてい日曜日。当時は雪が積もっていた。しかもちょうどセンター試験の日と重なっていた。
朝早くから新幹線で京都に行き、バスに乗り、百万遍あたりで降りたと思う。当時、ブリティッシュカウンシルは京都大学のキャンパスの近くにあった。メインの大通りから奥に入ったひっそりとした場所だったと思う。大きなビル、というわけではないけど、ちゃんと独立した建物に入っていた気がする。
ちなみに今はもう京都にブリティッシュカウンシルはないらしい。
僕が会場に着いた時、建物はまだ閉まっていたので、その辺をウロウロしながら開場時間まで暇をつぶした。近くには清水寺や銀閣寺、哲学の道なんかがある。道沿いには歴史の古そうな喫茶店があって、学生らしき若者たちがそこで本を読んでいた。アカデミックな雰囲気を感じて、京大生ってこういうところを毎日通ってんだなあとか思ってちょっと羨ましくなった。
外国人観光客はほとんどいなかった。
しばらくすると会場が開き、人が集まり始めた。別にその人たちは競争相手でも何でもないけど、周りの人を見るとみんな僕よりも英語ができそうな雰囲気で凹んでしまう。毎回それを感じていたけど、努めて周りを意識しないようにしていた。
その時のIELTS試験はお察しの通り。ぜーんぜんダメでした。
特にスピーキング試験が過去最悪にできなかった。与えられたテーマが何なのかすらよく分からなかったので、ほとんどしゃべれなかった。なんであんなに会話の出来にムラがあるんだろう?
たぶん試験官とのリズムが合うかどうかにもよるだろうし、出されるテーマにもよるだろう。まあ相手によって出来が変わるってことは実力がないんだろう。
試験官は会話テストをしながらスコアを紙に書き込んでいく。この時の試験では、そのスコアが偶然見えてしまったのだ。5か5.5だった気がする。
つまり、即日ダメだったことが分かってしまったのだ。かなり凹んだ。
試験が終わり、百万遍交差点の角にあるマクドナルドでお疲れパーティーを孤独に開く。
周りには受験生と思しき高校生やら浪人生がたくさんいて、センター試験の出来について話していた。僕は当時大学院生だったので彼らより心に余裕があるはずなのに、実際は彼らよりはるかに劣っているように感じた。
せっかくなので観光でもするかということで、清水寺から祇園に続くきれいな坂道を歩く。よさげな食事処でかつ丼かなんかを食べた気がする。
座敷に客は僕一人だけだった。
みじめだった。